(1997/12/29 - 1998/1/4)
「委員長っていつもこうやって外を眺めてるのか?」
「いや.電波を集めとるんや.晴れた日は電波がよう届くから….」
「電波って,『毒電波』とかの?」
「何やそれ,藤田君.テレビの見すぎとちゃう? 電波言うたら,普通の電波に決まっとるやん. 来栖川の衛星を使うて午後の予習をやっとんのやから,邪魔せんといて」
それができるなら,予習じゃなくて試験に使えばいいような….
(1998/1/5 - 1998/1/11)
「へっへっへ,オレってこう見えてもテクニシャンでさー」
「ううっ.な,何か嫌やわ〜」
「まあまあ」
(5分経過)
「…ふふっ.テクニックはあっても早いんじゃしゃーないな」
「…しくしく.オレに無いのは握力なんだ…みんな信じてくれ〜(T_T)」
「藤田君,どこに向かってしゃべっとるん?」
(1998/1/12 - 1998/1/18)
だが,もう遅い.
ノートがパラパラと開いて,オレは偶然にもその中を見てしまった.
一瞬目を疑う.
「眼鏡っ娘!」
「関西弁!」
「おさげ!」
「委員長!」
「シバったろか(笑)」
「巨乳!」
その他もろもろ….
ううっ.これって,オレの弱点ばかりじゃないか….
(1998/1/19 - 1998/1/25)
急ぐわけでもないが早足で教室から出たことが災いした.
廊下に出た瞬間にひとりの女生徒とぶつかりそうになったのだ.
「おっと…」
とっさにかわしたものの,女生徒はきっと厳しい目でオレを睨んだ.
「…ちょっとツリ目なだけや.勝手に決めつけんといて,この,あほっ!」
ううっ.やっぱり睨んでるじゃねーか(T_T).
(1998/1/26 - 1998/1/31)
女生徒は,バレリーナのように爪先でヨロヨロと立ち,必死に手を伸ばしていた. それでも,辛うじて指先が目当ての本に触れるかという程度で,とても取れそうにない.
黙って見てるのも何だし.
オレは―――
A. 眼鏡を取ってやろうか,と訊いた.
B. 何も言わずに眼鏡を取ってやった.
うーむ,悩ましい選択だ…. だがオレとしてはC. 将来素顔を見る時のことを想像する.なんかも魅力的な気がするぜ. 実はあのシーンはとても気に入っている. なんたって胸もデカイしな.
などと考えていると彼女がこっちに気付いたようだ. 視線がとても冷たいのは気のせいじゃないだろう….
(1998/2/1 - 1998/2/7)
「ちょっと待ちなさいよ!」
よく知らない3人の女生徒に突然声をかけられた. 確かこいつら,あかりのクラスの女子だっけ? しかし,声をかけられた理由がよくわからない. すると―――
「一日ぐらい,代わってくれたっていいでしょ!?」
女生徒のひとりが言った.
「は?」
いったい,なにを代われって…!?
「もちろん主役に決まってるじゃない」
「私,バカっぽくないもん」
「悪役はイヤ」
いや,オレとしてはおさげの娘に会わせて欲しいんですけど(^_^;;
(1998/2/8 - 1998/2/14)
「なあ,委員長.オレ,よく思うんだけどさ. こうして屋上から街を眺めていると自分の悩みがちっぽけに思えてくるよな」
「そら確かやね. 藤田君のモノはちっぽけやし,それを思い悩む藤田君自身もちっぽけや.当然悩みもちっぽけに決まっとるやろな」
「………(T_T)」
(1998/2/15 - 1998/2/21)
「藤田君,うちのこと買うてくれる?」
その言葉に一瞬息を飲む.だがオレは―――
「買うぞ.他のやつに買われるくらいならオレが買う.
何だったら下着でも制服でも買うし,ソックスだって買う.
もし使用済みの体操着があれば相場の2割増しで引き取るぞ. 使いかけのリップクリームなんかもイイ感じだし,おさげをくくっているゴムも要チェックだぜ」
「…いや,その,本当に金に困ったらその時にお願いするわ」
「ええっ.売ってくれないのー?」
「…(コイツにはこれ以上近付いたらアカンな…)」
雅史のヤツ,このオレを待たせたんだし,ちょっと制裁をくれてやる. ふふふ.あのエンディングのおかげであやしい誤解も受けてることだしな.
…3…2…1.
よしっ.
オレは,すぅ〜と息を吸い込んで,
「好きじゃあああ!」
と思いっきり抱き締めようとしたのはいいのだが.
「!」
ごすっ
.
オレは顔面に(おそらくお約束の)カバンの直撃を受けて地面に沈んだ(らしい). 薄れゆく意識の中,オレはとりとめの無いことを考えていた.
…委員長って胸はデカイんだけど,レミィみたいにナイスバディってイメージは無いんだよな. ということは,委員長の体型ってどうなんだろう? 実はずん胴だったりぐはっ―――.
最期に何が起こったのかはオレには分からずじまいだった. ところで「委員長」って誰のことだ…?